まぶたや目の周りが勝手にピクピクする。このような症状は眼瞼痙攣といって、自分の意思に反して目の周りの筋肉が痙攣してしまう病気です。目の疲れや寝不足などでも起こる軽度なものは、充分な休息や睡眠をとれば症状は改善されます。しかし、症状が慢性化して病気が進行すると、目が開けにくくなり、まったく見えなくなってしまうこともあります。
これまでは、有効な治療法がなかったのですが、最近ではボツリヌス毒素による治療が効果を上げています。
眼瞼痙攣ってどんな病気?
まぶたを開閉する筋肉を眼輪筋といいます。この目の周りにある眼輪筋が、自分の意思とは関係なく力が入り痙攣する病気です。今のところ、はっきりとした原因はわかっていませんが、脳内の運動を制御する大脳基底核が機能障害を起こすことによって生じると考えられています。
眼瞼痙攣の症状
初期症状は、少し目が開けにくくなったり、まばたきが多くなったりします。その後、目のまぶたや目の周囲に痙攣が起こります。徐々に痙攣の頻度が増えて、日常生活や仕事に支障をきたすようになります。さらに症状が進行すると、突然目が開けられなくなってしまうこともあります。目の疲れ、全身の疲労、ストレスで症状が進行しやすくなります。
- おもな治療方法
- はっきりとした原因がわかっていないため、根治的な治療法はありません。サングラス装用や点眼薬の使用により、ある程度症状は軽減します。神経の興奮を鎮めるような内服薬を使用したり、顔面神経ブロックなどの対症療法が中心になります。最近では、ボツリヌス毒素による治療方法が行われています。
- ●ボツリヌス毒素治療
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食中毒の原因として知られているボツリヌス毒素は、神経から筋肉への伝達を妨げる働きがあり、筋肉を弛緩させる作用があります。口から食物と一緒に体内に入り、ボツリヌス毒素が腸から吸収されると、全身の筋肉が麻痺するという中毒症状です。しかし、ボツリヌス毒素を抽出し、痙攣している筋肉に少量注射することで、その筋肉が弛緩して、痙攣がおさまるという効果があり、治療に使用されるようになりました。
まぶたを動かす筋肉に数カ所、体に悪い影響がない極少量を注射することによって痙攣を抑制します。治療後、1週間前後で効果が表れ、約3〜4カ月で徐々に弱まっていきます。効果がなくなったときは、再投与をする必要があります。安全性も高く副作用の少ない治療方法です。